『生命の讃歌 火の鳥』
オーダー作品をお届けしました。タイトルは『生命の讃歌 火の鳥』F10号 2020制作 白亜地キャンバスに油彩、紅茶インク、胡粉、顔料、アルキド、シジラータ、箔
このモデルとなったボウちゃんは 古都風雅ファームのシンボルのにわとりです。卵を採る農場で雄鶏?と思われるかもしれませんが、この子は元は肉鶏でたべられる運命にあった子。しかし仲間はずれにされていたのをオーナーの牧野さんが救って自宅に連れて帰って飼っていたそうです。鶏は弱くて仲間はずれになると生きていけないとうかがいました。そしてこの夏ボウちゃんをモデルに作品をとご依頼いただきました。さあ、キャンバスの下地も整い描くばかりになったとき思いも寄らぬ事が!!
お腹をすかせた親子の狐がボウちゃんを襲い命落としてしまったのです。小さいときから飼っていると鶏は家族のように慣れるそうです。大事に育ててきた牧野さんの悲しみはいかばかりだったでしょう。このお話はもう進められないだろうと思っていました。ところが牧野さんの息子さんは「ボウは自分の命を自ら狐の親子にあげたんだと思う」とおっしゃり、「制作はそのまま。ボウは今地上での役割を終え火の鳥となって新たな命に転生しようとしています。そんなボウを描いてくれませんか」とおっしゃいました。火の鳥…。不死鳥…。みんなを見守る存在・・・。さあ、どんなふうに描こうか。
写真は 古都風雅ファームの鶏たち。私の足をつついてあいさつしに来る。
資料を集め、焔を見たり、暗闇に明かりがともるところを観察したりして表現に工夫を凝らしました。何より私なりのエネルギーの描き方がご依頼主の気持ちに寄り添っているかどうかをよく考えました。想いを受け止めて描く。エネルギーを描く。そうして出来たのがこの作品です。喜んでいただけで私も感動しました。これからも丁寧に取材し心をこめて制作していきたいと思いました。
by atelier-takuya
| 2020-11-17 12:55
| アート